第5章 α犬

 
   

“α犬”の紹介から、元来犬は群れで行動する動物で、いぬ社会には平等、公平という言葉はない。常に順位付けが行われてる。その中で一番上に立つ犬がα犬と呼ばれる。群れの犬たちはα犬に対しては絶対服従で、順位の高い犬から順に挨拶を行う。耳を下げて下から挨拶をし、何かのきっかけで完全服従のお腹を見せられるように準備もしている。先に挨拶をするため順位争いがその場で起こったりする。

はなはブリーダーさんのところで犬社会の規律をすこしかじっている。そのうえマラミュート自体が野生を残しているので順位付けはきびしい。

一般的な家庭犬の失敗例として御犬さま扱いをしてしまったら、家庭の中でα犬となってしまい、秩序のためにその犬は、時に家族に歯を向けたりする。

犬はつねにトップの座を狙ってると思わなければいけない。

わたしははなの順位逆転をねらった行動にはきびしく接していた。代表的な行動としては…私の先を歩かせない、私が先にご飯を食べる、姿勢的に押さえつけるなどなど…ボスの座を狙えば必ず痛い目に合うことを教えてきた。

はなも挑んでは失敗をしを繰返した。

ある日いつものように、はなと一緒に実家に行ったときのこと。はなはすこしずつ状況把握もできるようになっていて、ナナとの関係もはっきり認識していた。 で、わたしの父親が仕事から帰ってきたときはなはα犬に対するしぐさを父親にした。それはわたしには見せない態度で、その場にいた家族全員『はっ…』と彼女の行動の変化に気付いた。

 

『やられた…』

 

彼女は家族の父親に対する態度を感じα犬と認めてしまった。 彼女の態度は

『なあんだ!あなたより上の人いるんじゃない!わたしこっちの言うこと聞こうっと』

という風だった 「なんでさ〜!!あなたの世話はわたしがしてるのよー!!ご飯作って、うんこ片付けてるの誰だと思ってるのよ!!」

そこへ妹のさめた一言 「そんなことしてるから下なんだよ。」

それからしばらくはなは父親の匂いのする掛けてある服とかにまでα犬への態度を示した。とほほ。わたしはかたなしである。

はなも1歳となりわたしと暮らしていくルールを身につけ、もうわたしの上に立とうという挑んだ態度には出なくなった。 …が はなはいまだに父親がいるところではわたしのコントロールはまったく効かない。