第40章 大事件

 
 

絶対絶命のピンチがはなに訪れた。

そのとき忙しいを理由にはなをかまってなく はなは毎日を独りで暮らしていた。

夜中過ぎに帰宅した私は適当にはなに挨拶をしてそそくさと家の中に入り着替える前に伝言などの処理をしてバタバタしていた。

その時近くで車のスリップ音と激しくぶつかる音がした。

「うちの前はまっすぐな道なのに」誰かが怪我をしているといけないと思って出て行ったら門が開いていて はながいなくてワゴンが横向きに歩道に突っ込んでいた。

車の中から飛び降りてきた若者は「黒いハスキーが!!黒いハスキーが!!」と叫んでた。

はなはよく私が門をしっかり閉めないとき出ていって横の駐車場で遊んでいることがある。そんな時も呼べば必ず家の中に戻ってくる。しかし、そのときははなはどこにも居なかった。

「すみません。うちの犬です。車の修理費お支払いしますので連絡先教えてください。」というのもそこそこに「犬にあたりましたか??」「引いてないですか?!」と何度も何度も聞いてしまった。

はなは車にあたったあとパニックで走り去ってしまって居なくなっていた。

その人を置き去りにしてスーツにスリッパのまま走って探しましたが見つからなかった。

これはちゃんと探さないといけないと連絡先だけ聞いて若者に帰ってもらい着替え門と家のドアを開けて懐中電灯を持って家を出た。

取りあえずは走り去りその先で死ぬこともあるので人の家の庭先に入りこんでいたら本当の迷惑をかけてしまう・・・。影になっているところや溝などを見たのだが居なかった。。。走っているとき今まで見てきた交通事故の犬たちが1頭1頭現れて・・・はなも同じように血を流しているシーンが頭の中に流れていた。そしてもう私と野宿旅をしてくれる犬とは出会えない・・と考えていた。

走れる範囲は探し家に戻ったり車で探すことに・・・はなはどこで私とはぐれても必ず車に戻る、怖いことがあったときの逃げ場はあの車だから音が聞こえたらきっと出てくると思い車ででかけた。

家から1kmほど走ったところにある公園の周りを回っていると・・・尻尾を下げ耳を下げたはながバックミラーに写った。車を止めてはなを呼ぶと急いで車に飛び乗った。

なぜかはなは真っ黒になっていた。

家に戻ると近所の人が家の前に居て「大丈夫?」と聞いてくれた。真夜中に大声を出しすぎたようであった。

家の中に入ってから一応触診して骨とかに異常がないか確認したが触っても折れている様子はないし痛がらないし...元気に車に飛び乗ったのであたってないと思っていた。

しかし、2時過ぎにはなは立てなくなり「車にあたってる」と確信した。呼んでも1歩歩いたら座りこんでしまう。情けない目をしてこちらを見る。いつも家の中に居るとき一緒に寝ていた2階に行こうとする私独りではなを運べないのでリビングに布団を敷きはなを寝かせた。

内臓が破裂するとかは2〜3時間経ってからのことなのではなを抱いたままずっと夜を明かした。私の最後の願いで私の腕の中で撫でながら逝かせることで・・・浅はかな飼い主の浅はかさは犬が背負うと・・・はなはずっと眠っていた。

今となっては笑い話だがはなを抱いて寝たと言うよりは横になっているはなに私がしがみついていたと言うほうが正しい表現かもしれない。

 

2人で無事朝を迎えることができたので朝一で獣医さんのところへ出かけた。

朝には歩けないが立てたので車まで1歩1歩進み乗せることが出来た。

獣医さんのところで見た時には毛を分けると体の左側に物凄い打撲のあとが・・・。炎症を抑えてから後日レントゲンなりを撮ることになった。手足が正常な動きに戻るかどうかはわからないがこの体重を支えられるだけ骨はいいようだよ、今すぐ命にかかわる症状はないよということで帰ってきた。

その後もものすごい回復力ではなは元気になっていった・・・。

 

取り乱して「犬にあたったんですか?」と詰め寄る私に「あたってない」としか言えなかった若者に本当に感謝している。左側全部打撲しているけど

車を歩道に突っ込むほど真剣に車を止めてくれた人ありがとうございました。

はなの無事は奇跡。門を完全に閉めなかった私のミスで危なく大切なはなを失うところだった。