今年はサラたちをきちんとトレーニングして来シーズンから橇に出ようと思っていた。子犬のトレーニングの1から10までを教えていただいた、魔法のしっぽ(リンクページにリンク済)の大澤さんという方に
「浅間チャレンジどうしようか考えているのです」
と出たい、止めた方がいいと両方の狭間にいた私は相談した。
頂いた返事は
「今シーズンははなたちにレースには必ずゴールがある、
それを教えてやる大切なシーズンだから出た方がいいですよ」
と言っていただいた。レースに出て必ずゴールさせて犬たちにそのルーチンを教えてやる・・・この一言に私の背中は押された。
年末年始の美瑛の大会にギリギリに出走して出てこれが私たちのデビューとなったが本当はこの北軽井沢をはなたちのデビュー戦と決めていた。
私たちがやった橇の練習。
私は一人で3頭をトレーニングしなければいけなかった。そして3頭はノーリード犬として散歩もさせていた・・・はながレースではまったく走る気はないがノーリードにしたら誰にも負けんぞ!って言うくらい足の速い犬ではなを追うことによってサラや優は全速力で走ることを覚えた。私には教えてやれない教育だった。
次の段階でギグでも橇でも一番最初の難関は人の正面を走ることである。それができなければギグではタイムは上がらないし、橇では橇は前には進まない。前を走ることを教えなければいけなかった。
私は3頭を別々に連れ出し犬といっしょに「3・2・1・GO!」の掛け声と共にダッシュを繰り返した。犬は喜んで一緒にダッシュする。これを繰り返し、走っている途中にもGOをかけさらに加速させる。犬の方が足が速いので横の位置だが前を走り始める、さらにGOをかけ加速させて私が犬の後ろに入り走り続ける・・・これを繰り返して練習した。
犬が私の合図で前を走れるようになってきた頃からグレイの飼い主村橋さんと一緒に自転車に乗っての練習をしてもらうようにお願いしていた。はなの子供たち、そしてレースでマラミュートの活躍を望む彼らは快く承知してもらった。
次の段階では走り続けることでグレイに先に走ってもらいそれをサラや優に追わせて自転車を引っ張って全速力で走ることを覚えていった。これで1頭1頭の走り方は身についてきたところで・・・次は多頭引きをさせるための組み合わせなどいろいろ試していた・・・さすがのやる気なし犬、はなも娘とつながれると地位確保のために負けずに走る・・・これで美瑛の大会はなんとか走れてきた。
北軽井沢では初めての3頭引き・・・誰をどう繋ぐかを悩ましいところであったがそれで申し込んだ・・・未知数な3頭なので後続の人を邪魔しないよう大会主催者の方には一番最後のスタートでお願いしていた。
当日はマラミュートが30頭近く集まるということを聞いてなんだかうれしい思いをしながら大会当日を迎えることになった。
私は3頭の犬を持ち一人で1ドッグに3回も出るのは体力的・・・あるいはエントリーの順番では不可能だと考えマッシャーを養成しようと考えていた。そこで標的になったのははなが家族以外に心を許している船橋だった。サラたちを毎日散歩に連れ出しなんとかコマンドを聞くようにするまでにして当日を迎えていた。
午前中にある3ドッグ・・・前の日まで試行錯誤したラインに3頭をつけて挑んだ3ドッグだった。犬の位置は、優が先頭後ろにはなサラを平行に付けた。犬同士の間隔ネックラインの長さすべて怪しい感じでスタートラインについた。
中でも先頭を走らせようとしている優は犬山ドッグマラソンでゲージから出られなかったくらいへなちょこな性格なので今回は橇から離れ優の横に立ってのスタートを切るようにした。
ここからは悪夢の11分となったのだが・・・スタートで「5・4・3・2・1・GO!」と言うつもりマンマンだった私。。。「5秒前です、さん、にー・・」とスターターに数えられもうパニック!
「ええ???よん!!」
とかいって走り出したらわだちに足を取られ転ぶ・・しかし犬たちは「走っていいのね!」と走り出しているところへ私が立ち上がり・・・犬の中に入ってしまって一旦犬の動きを止めてしまった。
そして体勢が整っていないのにGOをかけてしまい犬のラインに挟まれ再度転倒・・・やっと形が整ったと思ったら・・・走り出し、私はマラミュートのスピードとパワーを甘く見ていたようでやっとの思いで橇を掴みそのまま橇に乗って加速していった。
次のカーブでは橇で曲がることができず橇から振り落とされ、カラ橇が走り出した。スタッフに止めてもらい再度橇に乗った。
こんなヨレヨレのマッシャーに会場のアナウンスは「レース終了までマッシャーの体力が続くことが心配です!」と入り会場大爆笑だったらしい・・
そのまま林道に入り3頭は加速するだけ加速してカーブで私が曲がりきれずそのまま突っ込みここで橇を離したら終わると引きずられながら
「ウォーウォー(橇用語で止まれ)!!止まれ!ストップぅ!」
立ち直れば走り出しカーブが来て転ぶというのの繰り返しだった。
起き上がっては3・2・1・GOをかけていたが、途中で4・5とカウントアップをしてしまい・・・
「終わらね〜」と林道のだれもいないなか高笑いをしてしまった。
誰もいない林道で聞こえるのは犬が雪をける音と橇がすべる音だけである。夏を越え練習をしてきた私たち3頭と1人の誰にも邪魔されない瞬間であった。心の底から楽しさを感じ幸せな時間であった。
美瑛での1.7KM12分後半・・・今回2KM11分半・・・。確実に成長している。ゴールに戻れば「のじさん、犬の足引っ張りすぎ!」と各方面よりお叱りを受ける。そう、私の橇さばきの悪さが完全に犬のスピードを遅らせ走りを止めた。1ドッグもヨレヨレでレースにはなっていなかったのも本当である(^^ゞ
大澤さんは私の橇を見て「のじさん、橇から降り過ぎです。スピードが落ちてきて降りて走ってたら犬は緩めれば降りて走ってくれるって覚えてしまう、我慢して乗ってなきゃだめ」タイムは気にしないといっていた私だが・・・本番になるとやっぱりタイムを気にしてしまう、自分のサガを見たようだった。
そんなボロボロの3ドッグだったがかなり相当馬鹿楽しかったのは間違いない。
来年の北軽井沢は10分切って帰ってくるぞ。