はなは毎日私を待っていた。
毎日毎日昼間寝て体力を蓄え、私の帰宅後夜暴れつづけた。
私ははなの体力を消耗させるためなら何でもしていた。真夜中部屋の中でボール投げを３時間でも４時間でもした。しかし、はなは疲れなかった。
そこで自転車で散歩をすることにした。
手でリードを持ち自転車を押しながら外に出た。
最初の数日は自転車を押してそのまま散歩をした。「nojiとの散歩に何で変なものが付いて来るんだ？」という感じでガシャガシャ音を立てる自転車をはなは少し恐がっていた。そしてある日自転車に乗ってみた。
私は本当に感動したのだがはなは１回目で自転車といっしょに走り始めた。
耳は常に自転車の動きを聞くためにこちらを向き自転車が加速すればはなも加速し、減速したらはなも減速した。これがはなが橇犬だということを実感した最初のシーンであった。
それからはなと共に自転車散歩が始まった。
それでもはなは疲れなかった。ある日私はいけるところまで行ってみようと延々と２時間走った。はなは疲れなかった。私はくたくたになっていて遭難しかかっていた。「タクシー乗せてくれるかなぁ」見知らぬ土地で座り込んだことがあった。
それから少しのお金を持ち、行き先でジュースを買ったり時には夕飯を食べたりとなかなか楽しい毎日だった。そしてそこから怪我とも付き合うようになる。調子よく走っていたかと思うと匂いを嗅ぐためにはなは突然立ち止まり私はそのまま飛ばされることもしばしば・・・青あざ、擦り傷を作りながらも楽しい毎日の始まりだった。
実家への道程８ｋｍも良く使う道となる。
はなとしか乗らなくなってしまった自転車
