第1章 はなとの出会い

 
        

『それなら、犬でも飼おうか』 と決めた

犬に対してはいろいろ、いろいろとこだわっていたり 思い入れもたくさんあった 小さな頃からの夢である“MYDOG”への思いや、現在の私を取り巻く状況、犬への思いなどそれは複雑に絡んでいた。

なぜ、アラスカン マラミュートを“MY DOG”に選らんだのか…犬を飼うと決心する前後、小学校以来私の人生の中で2冊目となる『愛犬の友』を購入してぱらぱらとページをめくっていた。そこに載っていたのがマラミュートである。

私が知っているマラミュートは3頭 どちらもアメリカで出会った。その頃は日本で”大ブーム”となったハスキーも珍しかった頃で、『ハスキーかなあ、でかいなあ』 と思っていた。触ってもいいですかと聞く私にどの飼い主さんも快くOKしてくれた。(また改めてアメリカの飼い犬事情は書くとして) 威厳のある姿と大きく、優しいその性格に 大型犬はいいよなあ と感動した。 その記憶が蘇り いくらぐらいするんだろう と知りたくなったのがこの話の始まりとなってしまった。

幼い頃から動物好きだった私は獣医をめざし2浪までしたが頭が悪く断念…でもあきらめられないので、学生時代に動物病院で助手のアルバイトをした そこでの経験、先生の技術、考え方は私のその後の動物、動物に関わる人への考え方に大きく影響していったと思う。 ―このことが私がマラミュートを選ぶ時に基本としたブリーダー選びに役に立った。

世の中、動物がらみの商売がたくさんあって、これがかなり“えぐい”。 それはそれは“えぐい”。世の中で一般にそう言われている。 たまたま買った『愛犬の友』の1月号はお正月特大号で『愛犬の友』に関わるすべてのブリーダーさんが載ってると思われるほど厚い。マラミュートを飼いたいなあと思っていた私はぱらぱらページをめくって うーんここかな とブリーダーを決めた。

決め手はチャンピオン犬候を載せていなかったこと、そしてブリーダーである 本人が犬と2人で満面の笑みをたたえている それもでかいマラミュートと同じ大きさで、紙面を半分づつしている 何じゃ?

私の目にはただの犬好きに見えた。 「いくらか聞いてみようっと」 忘れもしない1月9日、電話をした 「あのーマラミュート扱ってらっしゃるんですよね」 「はぁい」 ・ ・ 「どのくらい飼ってらっしゃるんですか」 「現在、預かっているの含めて40頭ぐらいになります」 何じゃ??

・ ・ 「子犬昨日生まれてます。今はまだもぐらみたいだけど、しっかりしたら写真送りますね」 (見るだけ、見るだけ)「お願いします。」 あまり深く考えず お願いした。 そんなことも忘れてしまうほど日常は忙しかった。 ある日ポストを見ると見知らぬ名前の封筒が入っていた。結婚した いとこの名前と同じだったので その人かと思ったほど忘れていた。

封筒を開けとき おおっかわいいじゃないか 全部で8頭の子犬が並んで写っていた。 がぜん飼う気になってしまった… 私はオスに比べれば縄張り意識の少ないメスを飼うことに決めていた。 オスは発情したメスに対してもいくら去勢をしていても興奮する。押さえられる自信はない。 メス4頭の中でうーん選べない。なんで、この子犬はほかのより安いんだろう、小さいからか? 値段で決めるなんてできない!この犬はマラミュートっぽい色だけどハスキーに間違えられるよなあ きっと …………………

こんなの写真じゃ選べないよ!! 2月子犬を見せてもらう約束をした。 それから実家へ相談をした。(気持ちは決まってしまっているので正確には報告) 勝手に飼ってやるう!というのも手だが仕事を持っている私がいつ何時お世話になるかわからないので了解は必要だった。連日の『犬を飼うのをやめなさい』電話説得攻撃を受けながら考えてしまっていた。家族の言うことには一理ある。私と暮らす犬は1日中1人でお留守番をしなければならない。一愛犬家としては大反対!!そういう犬は問題行動をおこす、ましてやマラミュートなんてでかい犬 …保健所行きとなってしまう。 でも飼いたい… 迷いつつ子犬を見に出かけた。

名古屋からブリーダーさん宅まで新幹線を乗り継ぎ約3時間 駅まで迎えに来てもらった。その年は、関東では何度も雪が降っており、その日もいたるところに雪が残る寒い日だった。家族には反対されたまま、自分も迷ったまま日本のマラミュートに会った。 ブリーダーさんの家に近づくと車の音に反応してたくさんの犬のなく声がして来た。

本を読んだり、聞いたり、経験上で、考えたり いろいろあるが、1つだけ言えるのは いくら希望の犬種、犬のクオリティー、入手経路があったとしても、 子犬の顔お見たら終わりなので何も役に立たない。私は小さい頃から大型犬が飼いたかった。しかし家には拾ってきた犬が2頭いてそれはむり、次は大型犬といってもその前にまた捨てられている犬が入れば拾ってしまう、私は大型犬と暮らすのははむりなのか??と思っていた。

最近では捨て犬は見かけなくなり、 父親の希望で番犬に豆柴を見ようとペットショップへ出かけたが、帰りの車の中には なぜかビーグルが乗っていた。こうなることを避けるためにに私は付いていったのに…ビーグルは飼うことはないだろうという犬の上位に入る犬種。ビーグル犬としては しっぽのさきは白くないし、顔もバセットが入っていそうだし、見るからに”にせ”ビーグルなのに 目が合ってしまって、おしまい。

今回は犬を飼うって決めてから ペットショップには行かない。それ以外の情報を入れないを徹底したので無事ブリーダーさんのところへたどり着くことができた。

このブリーダーはなんと40頭近く飼っている。これはなにを意味するのか。 父犬、母犬をたくさん持っているということはいい犬が出る。マラミュートなんてマイナーな犬種で、この頭数を飼ってるのは?聞いてみると新しい飼い主が見つからない犬をすべて残しているから…犬と飼い主は縁のもの…と言われた。これが凄いと思った。ペットショップへ出してしまえば絶対売れてしまう。それなのに見知らぬ人に売ってしまわず自分の子犬を引き取った人とそれからも付き合っていくというポリシー。今でも時々電話をくれる、わたしも成長した写真を送る。マラミュートに関してスペシャリストである。獣医さんでも持っていないマラミュートの知識をたくさん持っている。

私の知っているブリーダーは人気種の母犬を3頭ぐらいづつ飼って年に2回子どもを取り すべてペットショップにおろしてしまう まさビジネス。 40頭飼っていると聞いた段階で 「あーあ、」 割り切れば多くても10頭の犬ですむのに…いろいろなポリシーを感じたのでここで子犬を分けてもらう自信がわいた。

家の中に案内をしてもらい待っていると 迷っていたメスの3頭(1頭は既に行き先が決まっていた)を連れてきてくれた。 それぞれまだ3キロくらいのころころの子犬だった。それぞれ抱っこさせてもらった。抱っこしても遊びたくてすぐ離れてしまう子やじゃれて手をかんでくる子 その中で 1頭が抱っこされてわたしの顔をずっと見ていた

「うちに来る?」

「…(行く)」

「そう、くるの」 (この手の会話は犬を飼っている人はよくする)

ブリーダーさんに「名前は?」と聞かれ、「はなです」と答えた このあと1ヶ月ブリーダーさんの手を離れるまではなは『はな』と名前で呼ばれることになる

はなは名古屋に来てわたしと暮らすことになった