第3章 寝不足

 
 

名古屋についたのは夜中だった。

はなをゲージに入れて、わたしはお風呂に入った。 彼女は1人にされることを極端に怖がった。お風呂の中にまで泣き叫ぶはなの声が聞こえてきていた。出て行くとゲージの中は騒いだ拍子に出たうんこでまみれていた。はなとお風呂へ逆戻り…・

ここで、はなをゲージに入れるしつけをしなかったので寝かせてもらえない日々が始った。

次の日、仕事をお休みしてはなと一緒に過ごした。途中2時間ほど彼女を1人にしてみた 彼女は驚くほどいい子で与えたおもちゃだけで遊んでいた。 明日からの14時間のお留守番は可能??

はなは遊んでは寝るということを繰り返し、ゆっくりとした時間がながれ・・夕方になった。その日は6時すぎから8時すぎまで仕事の打ち合わせがあり、またもリハーサルとして彼女を1人にした。 仕事の帰りの妹を拾ってはなとあわせることにした。

この妹というのがわたしと声、背格好がとても似ているのではなは小さいうち見分けられなかった。

なんか変だぞ??という具合。

実家では犬が途切れたことはなく、基本としては私の家族は犬好きである。ただ大型犬であるということと、わたしが一人暮らししていることで大反対している。 はなの顔見ちゃえばそんなのなし崩し… 案の定、はなは妹に耳を下げ印象よく挨拶し、妹も彼女を受け入れた。

それから、はなはどうもわたしが夜しか帰ってこないということを学習したらしく、昼間寝てわたしが帰ってきてから万全の体制で遊ぶことにしたようだった。予防注射が終わっていない2ヶ月は散歩にも連れて行けないので、彼女を疲れさせるために家の中でボール遊びをした。何度も投げて持ってこさせても、彼女のパワーは落ちなかった。

わたしがくたくたになり寝ようとすると、はなも付合って寝るが2時間ほどで起き出して遊びはじめる…目をつむっているわたしを起こす訳ではなく、1人で遊ぶ。チワワぐらいのサイズなら気にはならないのだろうが。もう15kgになるはなの遊びでは寝ていられない。地響きとともに転がりまわっているのである。

私が寝ている間はわたしに何もしないが、物音で目がさめて、目が開いているところを見られたら『なあんだ、起きてるんじゃないっ!遊ぼう!』となり1時間は付き合わされた。

「寝かせてくれ…」。 ここで告白するが、どうしても寝て欲しかったわたしは、はなに人間用の睡眠薬を飲ませた。飲ませようか、止めようかさんざん迷ったあげく、飲ませた…量は体重に合わせてみた。 が、まったく効かなかった。

このころのはなはまるで人間の子どものようで、えさを食べた後部屋の中を走り回って「食べた後走ると吐くよ!」と言ったとたんもどしていた。転んではわたしの顔を見てびっくりしたと言っていた。いたずらも見ている前でわざとした。

大型犬の成長は毎日見ているわたしにですら分かるほど早かった。見る見るうちに体重が倍倍になっていった。